「各駅停車(仮)」 第1話

短編小説

ある日、たくさんお金を使ってしまって、財布の中はもう空っぽ。トボトボとうつむいてあるいていた時、どこかにお金がないかポケットをまさぐっていたら、たまたま見つけた「ギャンブルをやめる乗車券」を手にしていた。
前から持っていたものか、いつ手に入れたのかもわからない切符。

ホームには、見た目がとても古い電車が停まっていた。
ドアの横には、こう書かれている。


「自動では開きません。ご自身で開けてください」

これは自分で開けないといけないのか?
なんだか面倒だなと思いながらも、ドアレバーをぐいっと引き、中に乗り込んだ。

車内には、木製の床。液晶も、吊り広告もない。
どこか懐かしいけれど、ほんの少し不安な気持ちになる。

私は、空席を見つけ、「失礼しまーす」といって席についた。

車掌のアナウンスが聞こえてきた。
「この電車は、終点「ギャンブルのない楽しかった人生」まで各駅に停まります。まもなく、発車いたします。」
「また、この電車は、乗り降り自由となっており、いつでも乗車が可能です。」

ありがたかった。
これ以上お金がかからないのはギャンブルばかりやっていた自分にはとてもありがたい。

電車の中にはいろんな人がいた。

楽しそうにしている人
ずっと窓の外を見ている人
悲しそうな顔で今にも泣きそうな人
誰にも干渉されたくないと手を組んでむっとしている人

みんな同じ目的なのかな?そうなんだろうな。

「発車いたします。」

プシューっという音がして、その後、電車は静かに動き出した。

続く。

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